動脈硬化はどのような病気ですか?
動脈硬化は、血管の流れが悪くなってしまう病態のことを指します。糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病による血管への負担が数年来蓄積されたことにより、血液の流れを淀ませた結果で引き起こされる病態です。
私たちの身体は頭のてっぺんから手足まで血液を流れる血管が走ってますので、この淀みがどの場所に起こったかによって、引き起こされる症状も変わってきます。例えば頭の血管に発生した場合には脳梗塞になりますし、心臓の血管に発生した場合には狭心症や心筋梗塞といった病態になります。
そしてもちろん、動脈硬化が起こった場所によって、その治療法も変わってきます。動脈硬化は基本的にお薬による治療となり、血液をサラサラにするもの、血管を広げるものを病態に応じてお飲みいただきます。ただし前提として生活習慣病のコントロール、そしてタバコを吸ってる方は禁煙をする、アルコール摂取が多い方は減らして頂く、などの生活習慣の是正は大事です。
動脈硬化はどのようにして発見されますか?
動脈硬化は自覚症状がなく進行していく病態ですので、放っておくと最悪の場合には脳梗塞や心筋梗塞など、何らかの病気を発症して初めて見つかるということになります。
しかし定期的に検診などで首の血管エコー(頸動脈エコー)や手足のABI検査を受けておくことで、動脈硬化がどの程度進んでいるのか、悪化しているのか、という進展具合を確認することができます。そしてそういった検査により動脈硬化が危険なレベルで進展していることが強く疑われた場合には、CT検査等で血管を物理的に見ることでどの程度血管が狭くなっているのか、血管が脆弱になっていないか、もしくは動脈瘤といって風船のように膨れたりなどしていないか、といった動脈硬化の進展具体を更に詳しく見ることができます。
このように動脈硬化は自覚症状がなく、知らず知らずのうちに身体を蝕んでいく病気ですので、実際に脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気を発症してしまう前に、能動的に発見していくことが大切です。
動脈硬化の治療はどのようにして行われますか?
動脈硬化の治療は、動脈硬化を起こしうる基本的な病態、つまり糖尿病や高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病をコントロールすること、そしてタバコなど動脈硬化の原因となるものを取り除くことが前提となります。
また男性ホルモンが動脈硬化を引き起こしますので女性よりも男性の方が動脈硬化になりやすいことが分かっていますし、年齢を重ねるに従っても動脈硬化は進行していきます。そういった「年齢を重ねる」ことや「男性である」という部分については仕方ないので、それ以外の要素をきっちりとコントロールし、これ以上進行しないようにする、といった取り組みが大事です。
もちろん進行してしまった暁には、動脈硬化が進行している部位に応じた適切な治療を行っていく必要があります。例えば脳梗塞でしたら脳の血管内治療や点滴によるお薬での治療法がありますし、心臓でも同じように血管内にカテーテルを通して風船で血管を膨らませるなど、血液の流れが途絶したままにならないような治療を行います。