高血圧

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高血圧症とは

血圧が高いとなぜいけないのですか?血圧は上の血圧が130mmHg以下、下が80mmHg以下で正常とされています。
高血圧症はこの正常値よりも血圧が高くなっていることを指します。
血圧の高い状態が続くことで血管に過度な圧力がかかり、血管の内側の壁を傷つけてしまいやすくなってしまい、その結果動脈硬化などを引き起こし、心臓、脳、腎臓など様々な臓器に影響を及ぼすこととなります。

高血圧は自覚症状なく体を蝕みます

高血圧の状態が続くことで、体中の血管、臓器に大きな負担がかかり続けますが、自覚症状は全くないという方がほとんどであり、普段から血圧を測る習慣のない方は健診等で初めて自分の血圧が高いということを気づかれます。このように症状なく体を蝕んでいくため、高血圧症は「サイレントキラー」とも言われます。

血圧が高いとどうなるか?

高血圧症の影響は全身の血管と臓器に及びます。
高血圧症が引き起こす主な疾患は以下の通りです。

網膜症、眼底出血

眼の細い血管がもろくなり出血することで起こる眼底出血などにより、視力の低下を引き起こすことがあります。

腎不全

腎臓は細かな血管の集合体であるため、高血圧による動脈硬化が進行することで腎不全となることもあります。
一度進行した腎不全は治癒することはなく、最悪の場合、透析療法を受け続けなくてはならない状態となります。

脳梗塞、脳出血

動脈硬化の影響から脳梗塞や脳出血などの重篤な麻痺や意識障害、最悪の場合、命を落としてしまう疾患が引き起こされます。

心臓病

心臓では冠動脈といわれる心臓に栄養を送る血管に動脈硬化が起きることで、血管が細くなる狭心症や血管が詰まってしまう心筋梗塞などの疾患を引き起こします。
また長期間血圧の高い状態が続くことにより、心臓がオーバーワーク状態となりその結果、心臓の壁が厚くなる心肥大を引き起こし、さらに進行すると心不全を引き起こすこととなります。

大動脈瘤、大動脈解離

心臓から全身に血液を送るための体の中で最も丈夫で太い血管である大動脈も、高血圧の状態が続くことでこぶ状に広がり、もろく破れやすい状態(大動脈瘤)になることや、血管壁が裂けてしまう大動脈解離を引き起こすこととなります。
大動脈は全身に血液を送る血管であるため、最も血圧の影響を受けやすく、かつ全身に血液を送る大切な血管であるため、破裂した場合は即座に命にかかわることとなります。

血圧が高くなる原因

血圧が高いとなぜいけないのですか?高血圧症の約90%の方が「本態性高血圧症」という原因の特定ができない方です。本態性高血圧症は遺伝的な要因や生活習慣が関与しているとされ、原因として以下のことが考えられています。

過剰な塩分摂取

体には体内の塩分濃度を一定に保つ働きがあります。お味噌汁が濃すぎた時に味を薄めるために水を足すように、体の中の塩分濃度が高いと濃度を薄めるために体内の水分量、すなわち血液量が増加します。その結果、血圧の上昇につながります。

肥満

脂肪細胞から、血圧を上げたり動脈硬化を促進させたりする物質が分泌されます。特に肥満の中でも内臓脂肪の割合が大きいメタボリックシンドロームの方は要注意です。また、血液の量は体重に比例するので、肥満は血液量を増やし、血圧上昇とともに心臓にも負担をかけます。

過剰飲酒

習慣的な過剰な飲酒は血圧を上昇させます。「酒は百薬の長」といわれ、呑んでいるときはリラックスし血圧が下がるイメージを持っている方もおられますが、呑み過ぎは体にとってストレスでしかなく逆効果です。

ストレス

精神的なストレスは、交感神経の働きを活発にし、心拍数の増加や血管の収縮を招き、結果として血液量が増加し血圧が上昇します。

自律神経の乱れ

疲労や睡眠不足が続き自律神経が乱れると、交感神経が強く働き、血管を収縮させるホルモンが分泌されるために、血圧の上昇を招くことがあります。

運動不足

生活の中でほとんど歩くことなく座ったり寝転がったりすることが多い方は、血行が悪くなり血圧が上昇します。

喫煙

タバコに含まれるニコチンが交感神経を刺激し、血圧を上昇させます。
また、血液中の活性酸素が増加し、動脈硬化が進行することでさらに血圧の上昇を招きます。

本態性高血圧症と違い、はっきりとした原因のあるものは「二次性高血圧症」といわれます。
二次性高血圧症としては以下の疾患があげられます。

原発性アルドステロン症

高血圧症患者さんの5-10%を占める代表的な二次性高血圧症です。腎臓の上方にある副腎という部分から、アルドステロンという血圧を上昇させるホルモンが過剰に分泌されることにより高血圧となります。

腎動脈狭窄

腎臓の細胞からは、血圧調節に関係するレニンという酵素が分泌されています。 腎動脈が狭くなり、腎臓への血液の流入量が減少すると、それに反応してレニンの分泌量が増え、血圧を上昇させるホルモン(アンジオテンシンⅠ、Ⅱ)が活性化され血圧が上昇します。

褐色細胞腫

褐色細胞腫がカテコラミンを過剰に分泌することによって、血圧が上昇することがあります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中の無呼吸状態から呼吸が再開される際に、体は寝ている状態ですが、脳は「覚醒反応」という起きている状態になります。この状態になると睡眠が一時的に中断されます。睡眠中は本来、副交感神経が優位な状態ですが、睡眠が中断されることで交感神経が働き、その結果、血圧が上昇します。そのため睡眠時無呼吸症候群は「無呼吸」と「呼吸再開」を繰り返し、短期覚醒によって急激な血圧変動が持続されていくのです。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが直接的に心臓を刺激し心拍出量が増えます。また甲状腺ホルモンの作用で交感神経も活性化されるなど、甲状腺ホルモンによる様々な影響から血圧が上昇します。

血圧を下げるには

血圧を下げるには

二次性高血圧のように高血圧症の原因がはっきりとしている場合は、原因疾患の治療を行うことで降圧が期待できます。
しかし、原因が不明もしくは多岐にわたる本態性高血圧症の場合は、基本的に生活習慣の是正を行い、それでも改善がみられない、もしくはすぐに降圧が必要な状態であれば薬物療法を併用します。
生活習慣の是正は特に以下のことが大切です。

塩分制限

塩分制限

日本人は食塩感受性が高いとされています。食塩感受性とは、塩分をとった量に応じて血圧が上昇する体質のことです。逆に食塩感受性が低い白人は、塩分をとっても血圧への影響は少ないと言われています。塩分感受性が高いにもかかわらず、日本人は諸外国と比べて塩分を取り過ぎています。
推奨されている食塩摂取量は健康な成人男性で7.5g、女性は6.5g未満とされています。(厚生労働省)
ただし血圧管理をするうえで日本高血圧学会が推奨している目標値は6g未満、WHOでは5g未満とされています。日本人の平均的な食塩摂取量は1日10g前後といわれており、日本人のほとんどが塩分過多といえる状況であり、血圧を下げるためには、まず塩分制限が必要となります。

減量

減量制限

大規模な研究で4.5㎏の減量が降圧に有意な影響を及ぼすといわれており、肥満の方の体重が1㎏減少すると収縮期血圧が約0.5~2mmHgほど下がるとされています。特に内臓脂肪の多い肥満(メタボリックシンドローム)の方は体重減少による降圧効果が大きいとされています。

アルコールの制限

高血圧の方の1日のアルコール推奨量は、おおよそ日本酒であれば1合まで、ビールは中瓶1本まで、焼酎は半合、ウイスキー・ブランデーはダブル1杯、ワインは2杯ほどとなります。

運動

運動を行うことで血管内皮機能が改善し降圧効果が得られます。習慣的な有酸素運動(ウォーキング、スロージョギングなど)が推奨されており、息が切れない程度の強度で合計30分以上の運動が望ましいとされています。
しかし、体力や抱えている疾患によって、推奨される運動強度や頻度は異なりますので注意が必要です。

禁煙

喫煙すること自体が血圧の上昇を招くため、当然禁煙することで血圧は下がります。また、たばこを吸い続けることで進行する動脈硬化を予防することができるため、将来的な狭心症、心筋梗塞のリスクも大きく低下させることができます。

薬物療法には主に以下の薬剤が使われます。

カルシウム拮抗薬(CCB)

高血圧の方に対して日本で一番多く処方されており、7割以上の方が飲まれている降圧薬です。降圧薬の中で一番古い歴史をもち、最も安全に、かつ効果的に血圧を低下させる作用を持っています。ただし、注意点としてグレープフルーツなどの柑橘類との相互作用があり、より強く血圧が低下することもあるので、CCBのお薬を飲む際には気を付ける必要があります。

アンジオテンシンⅡタイプ1受容体拮抗薬(ARB)

ARBは、日本で2番目に処方数が多いお薬です。アンジオテンシンIIという血管を収縮させるホルモンが受容体に結合することを阻害します。心臓や腎臓を守る作用もあり、心臓病や腎臓病の方に積極的に使われています。
強い副作用も出にくい薬剤ですが、アンジオテンシンⅡというホルモンは、妊娠初期において腎臓の成長に欠かせないホルモンであるため、妊娠中は内服することができません。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)

アンジオテンシンⅡを作る酵素を遮断する薬剤です。ARBはアンジオテンシンⅡが受容体に結合しないようにする役割ですが、ACEはアンジオテンシンⅡの産生を抑えることにより血圧を低下させます。

利尿薬

体内の水分量を減らすことで心拍出量が減り血圧が下がります。また利尿薬を服用し続けることで末梢の細い血管での血液の流れにくさが改善され、その影響から血圧がさがります。ただし過度の服用や長期間の服用は、ナトリウムやカリウムなどの電解質のバランス異常を引き起こすことや、過度の水分除去による脱水を引き起こすこともあるので注意が必要です。

まずは受診を

高血圧治療は早期に介入することが非常に重要です。
最近、お家での血圧が気になる方、健診で高血圧を指摘された方は、症状がないからと油断せずに、一度、循環器内科への受診をお勧めいたします。

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血圧が高いとなぜいけないのですか?べっぷ内科クリニックは、宇治市に位置しており、本院はJR宇治駅およびJR・近鉄小倉駅から徒歩10分、分院(宇治市役所前)はJR宇治駅から徒歩12分の場所にあります。宇治市は城陽市、久御山町、伏見区に隣接しており、多くの患者様にご来院いただいております。また、八幡市、京田辺市、宇治田原町、長岡京市、向日市、さらには京都市全域からも多くの患者様がいらっしゃっています。 当院は本院、分院ともに、糖尿病と循環器疾患を中心に、高血圧や脂質異常症といった生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群なども専門的に治療しております。様々な専門性を持った複数の医師が連携を取りながら診療にあたっておりますので、安心してご相談ください。

【執筆者】
医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

【執筆者】医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

専門資格

日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会 療養指導医
日本循環器学会 循環器専門医
心臓リハビリテーション学会 心リハ指導士
日本腎臓学会
日本透析医学会 透析専門医

所属学会

日本内科学会
日本糖尿病学会
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会
日本循環器学会
心臓リハビリテーション学会
日本透析医学会

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