治療しているが良くならない

血糖値が下がらない理由
として考えられること

糖尿病の治療を受けられていて当院への転院を希望される方に「きちんと通院しているし、お薬も飲んでいる、結構頑張っているんだけど、なかなか血糖値が下がらない」という方が多くいらっしゃいます。しかし、食事を摂らなかったら基本は血糖値は上がりませんので、血糖値が下がらないのにはきちんとした理由があります。
考えられる原因を一覧で記載しますので、ご参考にして下さい。しかし患者さんだけでは管理不可能な領域もあります。その際は糖尿病を専門的に診ることができる医師にまでご相談ください。

良かれと思ってしている食生活が
間違っている…
これが一番多い原因です…

食べ方が不規則

食べ方が不規則食事を朝食、夕食の2食とし食事を減らしているが、その分1回の食事が多くなっている方を多く見ます。もしくはその間に食事ではなく間食をしている場合。ほどんどが炭水化物(糖質)でできており、カロリーはかなりあり、せっかく食事を減らしても同じということが多いです。また晩酌でダラダラと食べてしまう、夜勤業務で食事の時間がバラバラといった食生活も血糖は不安定になります。

炭水化物が多い

炭水化物が多い日本人が好きなご飯、パン、ラーメン、チャーハン、パスタ、お好み焼き、たこ焼きは炭水化物の塊であり、血糖値を大きく上げてしまいます。忙しくてコンビニの菓子パンを食べることはありませんか?ものの数分で食べられてしまいますが、大量のお砂糖を使っています。平均糖質70-80gは一つの菓子パンで使われており、一つだけど一日のうちの半分近い糖質を取ることになりますので注意が必要です。

間食(おやつ)が多い

間食(おやつ)が多い3食の食事管理はとても頑張っておられても血糖値が高い方、間食が多い場合をよく見ます。ちょこっとだけでも積み重なると血糖値は上がりますので、記録などするといいでしょう。

ジュース類が多い

ジュース類が多い缶コーヒー、スポーツドリンク、ヤクルト、栄養ドリンク、野菜ジュースなどなど、皆さんマスコミからの広告を鵜呑みにしていませんか?野菜ジュースは確かにビタミン、ミネラルなどは摂れますが同時に大量のお砂糖も摂ることになることを知らなければいけません。ヤクルトも乳酸菌は摂れますが、シュークリーム1個分のお砂糖を摂ることも知っておいてください。”美味しい飲み物には毒がある”という認識のもと、「飲んでいい液体は、水・お茶・麦茶・ブラックのコーヒー」と覚えておいてください。

お薬・インスリン注射が合っていない

食事を摂るたびに血糖値は上がります、ですが、飲み薬やインスリン注射の回数が1回(朝だけ)のことありませんか?お薬の種類やインスリン注射の種類によりますが、1日何度もお薬を飲んだり、何度も注射をするのは大変なので、1回にしていることを多く見受けます。もちろんそれで血糖管理が問題なければいいのですが、そうでない場合は、その方の血糖値の上昇の程度によって、適切な回数となることが必要です。

お薬・インスリン注射が
効きにくい身体になっている

体脂肪の多い肥満の方、筋肉の少ない人、運動をしない人は、往々にしてお薬の効き目が悪い身体になっています。血糖値が下がらないからといってお薬を増やすだけでは根本的な解決にはなりません。お薬を追加した時は一時的には血糖値は低下しますが、また必ず上がってきます。SU剤がたくさん入っている場合(例えば、グリメピリド1mg以上、グリクラジド20mg以上、グリベンクラミド1.25mg以上)は、膵臓疲弊を来しますので、治療方針の練り直しが必要です。

体内の自分のインスリンが
ほとんどない場合

1型糖尿病や、血糖コントロールが長年不良で経過した2型糖尿病、膵臓病で膵臓機能が低下した場合は、自分のインスリン分泌が著しく低下しています。この際は飲み薬の効果はほとんど期待できないため、インスリン注射が基本になります。自分のインスリンの残存程度によりますが、基本は1日4回(各食事前と寝る前)のインスリン注射が必要となります。

腎臓や肝臓が悪い場合

腎臓や肝臓が悪い場合腎機能が低下している場合や、肝機能が低下している場合では、飲み薬やインスリン注射の効果が身体に残り、そのために低血糖となることがあり、血糖の乱れの原因となります。低血糖を回避するためにお薬を減量したら、高血糖となってしまいます。そのため、腎機能低下や肝機能低下している場合は、低血糖を起こさずに高血糖にもならないような管理が求められ、基本的治療はインスリン注射となります。慣れないとインスリン注射は低血糖になるのでは・・・という懸念があるかと思いますが、適切に使えばインスリン注射のほうがはるかに安全であることをお伝えしておきます。

頻度は少ないがその他の高血糖、
血糖値不安定となる原因

  • インスリン注射のやり方がうまくできておらず、決まった注射単位数を注射出来ていない場合。
  • 痛くないように同じ場所ばかりインスリン注射をして、皮膚が固くなりインスリンがうまく吸収されていない場合。
  • 混合型インスリン注射(にごっているインスリン注射)をよく振らずに急いで注射をしている場合。
  • 神経障害にて胃腸の動きが極めて悪く、便秘と下痢を繰り返し、腸からのブドウ糖の吸収が不安定になっている場合。
  • ステロイドやアレルギーのお薬で、血糖値を上げる作用のあるお薬を飲んでいる場合。
  • 甲状腺疾患など、血糖値を乱れさせる他の疾患が併発している場合。
  • 長年使っているインスリン注射に対して、インスリン抗体が出来ている場合。

糖尿病専門医にご相談ください

糖尿病専門医にご相談くださいせっかく治療を続けていても、正しく血糖値がコントロールできていなくては動脈硬化が進行してしまい、様々な合併症を引き起こしてしまう危険性があります。
少しでも気になること、不安なことがございましたら、ぜひ一度糖尿病専門医にまでご相談ください。

簡単!糖尿病の危険度
セルフチェックリスト
  • 40歳以上の男性、または50歳以上の女性
  • 家族や親戚に糖尿病の人がいる
  • 太っている(BMIが25以上)、または最近体重が増えてきた
    ※ BMI=体重kg ÷ (身長m)2
  • 喉が異常に乾く
  • 食べても食べてもやせる、最近急にやせてきた
  • 健康診断で、尿に糖が出ていると指摘された
  • 尿の臭いが気になる
  • 残尿感がある
  • 最近、尿の回数が増え、夜中にトイレに行くことが増えた
  • 全身がだるい、疲れやすい
  • 手足がむくむ
  • 夕ご飯を食べた後にすぐ寝てしまう
  • 外食が多い
  • 1食抜いて、次でどか食いをしてしまう
  • 甘いお菓子やジュースをよく口にする
  • 運動の習慣がなく、車に乗る機会が多い
  • タバコを吸っている
  • ストレスの多い仕事をしている

5つ以上当てはまる場合、糖尿病のリスクが高い状態です!お早目に専門の医療機関を受診ください。

べっぷ内科クリニックの
受診予約はこちら

【執筆者】
医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

【執筆者】医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

専門資格

日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会 療養指導医
日本循環器学会 循環器専門医
心臓リハビリテーション学会 心リハ指導士
日本腎臓学会
日本透析医学会 透析専門医

所属学会

日本内科学会
日本糖尿病学会
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会
日本循環器学会
心臓リハビリテーション学会
日本透析医学会

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