慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(CKD)とは慢性腎臓病とは時間をかけて徐々に腎臓の働きが悪くなっていく病気の総称です。何らかの腎障害が3か月以上持続している状態と定義されます。つまり原因によらず、腎臓が悪い状態が持続している場合に診断されるため、日本の成人の8人に1人は慢性腎臓病といわれています。
慢性腎臓病とは反対に、急に腎臓が悪くなってしまう病気を急性腎障害(AKI)といいます。急性腎障害の場合には、初期に適切な治療を行うことで、腎臓の働きを回復できる可能性があります。しかし、慢性腎臓病では一旦腎臓の働きが悪くなってしまうと、回復することは難しく、腎臓に負担がかかり続け、少しずつ病気が進行していきます。そのため、慢性腎臓病を早期に発見し、進行を遅らせる治療を少しでも早く開始することが重要です。
慢性腎臓病はその進行度合いでステージ分けがされます。腎臓病が進行しステージがあがると、合併症が生じやすくなってくるため、より厳しい食事療法や専門的な治療が必要になってきます。

慢性腎臓病(CKD)の原因

慢性腎臓病の原因は様々です。糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満といった生活習慣病によるものが多いですが、中には糸球体腎炎やネフローゼ症候群のような腎臓病が隠れている可能性があります。糸球体腎炎やネフローゼ症候群では治療で治せる可能性があるため、慢性腎臓病と診断された場合にはできる限り原因を調べる必要があります。腎機能を表す検査項目に血液のクレアチニン値から算出した推算GFR(糸球体濾過流量)というものがあります。推算GFRは腎臓の機能そのものの推定値であり、異常値である場合は慢性腎臓病が強く疑われるのはもちろん、正常範囲内であっても経時的に低下してきている場合は要注意です。そのような場合には慢性腎臓病の可能性がないか早期に医療機関に受診することが重要です。

慢性腎臓病(CKD)の症状

慢性腎臓病(CKD)の症状慢性腎臓病では症状がでないことが多いため、健診などで蛋白尿や血尿、軽度の腎機能低下などを偶然指摘されてわかることがあります。そのため普段から定期的な健診や検査が重要です。慢性腎臓病が進行してくると、血圧の上昇やむくみ、夜間頻尿などの症状がでることがあります。逆に言うとかなり進行した慢性腎臓病でも高血圧やむくみ程度の症状しかないこともあります。さらに進行した慢性腎臓病では腎性貧血という腎臓病に特有の貧血を生じてくるため疲れやすさや動悸症状などがでることがあります。腎性貧血とは腎臓で作られる造血ホルモン(エリスロポエチン)の不足などにより生じる貧血で、鉄分補給などの通常の貧血治療とは異なる治療が必要になります。また、腎性骨代謝異常により骨粗鬆症や異所性石灰化(血管が骨みたいになる)による動脈硬化の悪化も引き起こします。さらに末期の腎不全の状態になると食欲低下や傾眠(意識がぼんやりする)などの症状がでます。腎不全によりこのような症状がでている場合はすぐに透析治療を開始しなければならない危険な状態です。

慢性腎臓病(CKD)の治療

慢性腎臓病の治療には大きくわけて2種類あります。1つ目は腎臓の働きを維持するめに、できるだけ腎臓を守る治療です。慢性腎臓病では腎機能が回復し、もとの機能にもどることはなく、加齢だけでも進行していきます。そのため、慢性腎臓病の治療の目標は腎臓をよくすることではなく、少しでも腎臓への負担を減らし、機能を温存して長持ちさせることです。
腎臓を悪くしている主な原因(腎炎など)がはっきりしている場合にはその原因疾患の治療が最も重要ですが、糖尿病や高血圧、脂質異常、肥満、喫煙、高尿酸血症などの腎臓に負担をかける原因ひとつひとつに対する治療も同じくらい重要です。
2つ目は悪くなった腎臓の働きを補う治療です。その代表的な治療を紹介します。
1つ目に、腎臓が悪くなると塩分(ナトリウム)の排泄が低下し、体に貯留するため、血圧が上がったり、浮腫が生じたりします。減塩による食事療法が重要ですが、それでも改善しない場合には血圧を下げる薬(降圧剤)やむくみをとる薬(利尿剤)を使用します。2つ目は腎性貧血です。腎臓では造血ホルモンであるエリスロポエチンが産生されていますが、腎臓が悪くなると産生が低下し、また尿毒素によって貧血になりやすくなります。このエリスロポエチンを薬として補充する必要があります。基本的には注射薬になりますが、最近、新しい腎性貧血治療薬(HIF-PH阻害剤)が飲み薬で登場し、治療の選択肢がひろがりました。3つ目は腎性骨代謝異常です。腎機能が低下すると血液中のリンというミネラルの排泄が低下します。さらに腎臓でのビタミンDの活性化も加わり、リンとカルシウムの調節障害が生じます。その結果、骨粗鬆症や異所性石灰化などの合併症を生じます。そのため慢性腎臓病では定期的にリンの測定を行い、異常がみられた場合には食事療法や内服薬での治療が必要になります。
このように慢性腎臓病の進行をくいとめる治療を継続していても残念ながら末期腎不全の状態までなってしまう場合があります。その場合には透析治療や腎移植が必要になります。透析治療について詳しくは腎臓病と透析治療のページを参照してください。

【執筆者】
医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

【執筆者】医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

専門資格

日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会 療養指導医
日本循環器学会 循環器専門医
心臓リハビリテーション学会 心リハ指導士
日本腎臓学会
日本透析医学会 透析専門医

所属学会

日本内科学会
日本糖尿病学会
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会
日本循環器学会
心臓リハビリテーション学会
日本透析医学会

TOPへ戻る
予約枠に余裕があります 分院WEB予約予約枠に余裕があります 分院WEB予約本院WEB予約本院WEB予約 WEB問診WEB問診 LINEで予約LINEで予約
Follow us Instagram Youtube