糸球体腎炎とは
腎臓病の原因のひとつに糸球体腎炎という病気があります。腎臓の中には糸球体という血管内の血液から尿を分離する小さな装置があります。この糸球体が炎症などで障害され尿に血液や蛋白がもれでてしまう病気です。その中でもとくに血尿や蛋白尿が持続し、徐々に腎臓が悪くなるものを慢性糸球体腎炎といい、日本で透析になる原因の第3位です。糸球体腎炎は腎臓の糸球体に障害がおこる病気の総称なのでその原因には様々な種類があります。
IgA腎症について
糸球体腎炎の中で最も多い原因はIgA腎症です。腎臓の糸球体に異常な免疫たんぱく(糖鎖異常IgA)がたまることで、糸球体に炎症がおこり、血尿や蛋白尿を引き起こし、徐々に腎臓を悪くします。昔はIgA腎症は予後の良い(腎臓が悪くならない)病気であると考えられていましたが、最近の研究では20年で末期腎不全に至る確率が40%もある予後の悪い疾患であるともいわれています。そのためIgA腎症は国の指定難病になっていますが、診断のためには腎生検という検査が必須になります。腎生検によってその他の様々な糸球体腎炎と区別する必要があるからです。
- 溶連菌感染後糸球体腎炎
- 急速進行性糸球体腎炎
- 膜性増殖性糸球体腎炎
- ループス腎炎
など
尿検査で異常を指摘されたら
尿検査で異常を指摘された場合には医療機関への受診をお勧めします。とくに血尿と蛋白尿の両方がある場合には糸球体腎炎の可能性が高いため腎臓専門医の診察をうけるべきです。なぜならIgA腎症のように当初は健診などで少しの血尿や蛋白尿のみの異常であったために油断して放っていると、気づいた時には腎機能障害が進行してしまっているかもしれないからです。
糸球体腎炎の治療
糸球体腎炎の治療方法は原因により様々ですが、ステロイドを中心とした免疫抑制治療が必要になることが多いです。ステロイドなどの薬剤には様々な副作用がありますので、通常は腎生検によって確実な診断を行ってから治療を行います。また、治療開始時には入院して初期の治療効果や副作用を確認することが多いです。また、糸球体腎炎でも慢性腎臓病と同様に腎臓に負担をかけないように食事療法や高血圧など併存疾患の治療も重要です。